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円形脱毛症(SADBE)
円形脱毛症とは
突然、頭に5円玉~直径5cm位の脱毛が生じ、かゆみや赤みが全くなく、しだいに脱毛部分が大きくなってくるのが円形脱毛症です。髪の毛の抜ける量が多いなと思っているうちに自分で脱毛部分に気付いたり、美容院、散髪屋さんに指摘されて来院される場合が多いようです。
原因ははっきり分かっていませんが、ストレス説や自律神経失調説があり、また最近は、自己免疫疾患に関係しているという説が学問的に主流になっています。すなわち病原菌などから自分を守る免疫の仕組みに乱れが生じ、自分自身の体(毛髪を造る場所)を外敵とまちがえて攻撃を加えてしまうと考えられています。
円形脱毛症は、脱毛部分が1つだけの単発型(図1)、2つ以上の多発型(図2)、髪の毛がすべて抜けてしまう全頭型、まゆ毛、まつ毛やひげなども一緒に抜けてしまう汎発型(図3)に分類することができます。単発型や多発型で脱毛の数の少ない場合は3~6ヶ月で治る場合が多いですが、全頭型や汎発型のように脱毛部分の面積が広くなると、治りにくくなります。
治療としては①内服、②外用、③直接毛根に刺激をあたえる方法があります。③毛根に刺激をあたえる方法として、皮膚科専門医が好んで用いているのが PUVA療法(図4)です。紫外線に対し感受性を高めるオクソラレンローションを塗り、15分後に中波長(380~420nm)紫外線を5~15分間照射する方法で週1回ずつ行なっていきます。脱毛部分に副腎皮質ホルモンを局所注射する方法もよく効きます。その他の方法として、SADBE液でかぶれを人工的に作ったり、ドライアイスをあてる方法もあります。
このように治療を根気よく続けても脱毛症は治りにくく、特に多発型は年単位で治療が必要になります。また一度治っても再発を起こしやすいのが円形脱毛症の特徴です。「絶対に治したい」という気持と、「根気よくやれば絶対に治る」という信念が大切で、患者さん自身にストレスが加わらないように、周囲の人の理解も必要です。
図1 円形脱毛症(単発型):2~6ヶ月で治ることが多い。
図2 円形脱毛症(多発型)
図3 円形脱毛症(全頭型):脱毛が眉毛、睫毛にも及ぶ
図4 PUVA療法 オクソラレンローションを塗り15分後にブラックライトを3~15分当てる
円形脱毛症に対する局所免疫療法(SADBE療法)について
円形脱毛症の原因の詳細は不明ですが、近年では、自己免疫疾患説(すなわち自分の毛根を他人のものと誤って判断し、リンパ球が毛根を攻撃して起こっている)が有力です。
局所免疫療法は、SADBE(spuaric acid dibutylester)というかぶれを起こす試薬を脱毛部に塗り、別のリンパ球を呼び寄せ、毛根を攻撃しているリンパ球の進入を防ぐ治療法です。
この方法は世界的に評価の高い方法で、ステロイド局注とともに、日本皮膚科学会のガイドラインのAランクに推薦されています。有効率は60~90%とされています。全身的な副作用の心配がなく、SADBE液には発癌性のないことも確認されています。
- 副作用
- かぶれにともなうかゆみ、局所の赤み,腫れ、分泌物、極く稀にリンパ節の腫れ、じんましん、色素脱失、アトピー性皮膚炎の悪化
- 方法
- ①初診時に脱毛部に1か所2%SADBE液を塗ります。2~3日後にかゆくなってくる場合と変化のない場合があります。かゆみがひどい場合、腫れがひどい場合には早めの受診が必要です。通常1~3回の2%液塗布でかぶれを起こします。
②2% SADBE液によってかぶれが起きた(感作された)ことが確認された後は、薄い濃度のSADBE液を脱毛部全体に2週に1回塗っていきます。1回ごとに濃度を上げ、脱毛部皮膚がわずかに赤みを帯びるか、かさつく程度の濃度(自覚的にはすこし痒みを感じる濃度)が決まったら、この濃度を維持していきます。
SADBE療法